愛敬

「女は愛嬌」とは、私も子供の頃母に言われ続けたことです。

この愛嬌という言葉、元は仏様の姿を指す愛敬(あいぎょう)という仏教由来の言葉で、中世後期以降清音化し、敬の意味が薄れると共に、嬌の字も当てられるようになったということです。

 

仏教では仏様や菩薩様の「柔和で慈悲に満ちた優しいお顔や姿」を「愛敬相(あいぎょうそう)」と呼んでいるのだそうです。私はつい先日それを知ったのでした💦

仏像のお顔といえば、飛鳥時代のアルカイックスマイルが強烈にインプットされていましたが、愛敬相という言葉もあったのですね〜。

アルカイックとはフランス語で古風なという意味で、古風な微笑といった意味合いのようですが、神秘的な微笑みだなぁと私は思います。ギリシャ辺りの様式が濃く伝わってきたからでしょうか。

次第に柔和な意味合いが強くなっていくところは、「にこやかでかわいらしい」という意味になった言葉も、仏像のお顔も、同じように変化していったということです。

それはやはり、多くの日本人の好むところと相まったのかもしれませんね。

 

さて、私がこの事を知った浄土宗発行の紙面には、パナソニックの創業者松下幸之助氏が設立した松下政経塾生の選考基準のひとつに「愛嬌(愛敬)」のある人があったと書かれていました。

そういえば、以前高市早苗氏が自身が合格した理由として、そんな事をおっしゃっていたような・・等と思い起こしながら・・しかしこれはうろ覚えです💦

(念の為調べたら合っていました。冒頭にその事が書いてありました

https://konosuke-matsushita.com/treatises/pdf/ronso-3.pdf 

面接は散々だったのが、帰り際に撮られたニカっと笑った写真が合格の決めてだったとか。)

 

愛嬌のある人の元には人と情報が集まってくるから、というのがその理由だそうです。

ビジネスにおいても政界においても、リーダーにまず求められるのは、こういう至ってシンプルな人間力だったりするのかもしれませんね。

 

和顔悦色施(わげんえつじきせ)とは、和やかで喜びの顔つきで接すること。

他の人に対する施し(布施)のひとつで、仏教徒が大切にすべき姿勢としています。

仏像のお顔が柔和であることも、人々がそれを求めていることの現れであるような気がしてきます。

 

それともうひとつ、敬宮愛子様を思い出しました。

この言葉が元になってのものかは分かりませんが、ご成長された今、愛敬相という言葉が相応しい愛子様の微笑みが浮かんできます。